支払期日から2週間、通帳に入っていません

「催促したら、次から仕事をもらえなくなるんじゃないか」

配送の仕事をしていた頃、私も同じことを考えていました。入金がない。けれど相手は続けたい取引先で、強く言えば関係が終わるかもしれない。そうやって何も言えないまま、1か月が過ぎていきました。

先にお伝えします。督促は、いきなり強い手段を出さないほうが回収できます。事実の確認から入り、段階を上げていく。順番を先に決めておけば、迷って止まる時間がなくなります。あわせて、自分の売掛金がいつまで請求できるものなのかを知っておくと、判断が落ち着きます。

入金が止まったときにどこから動くか

相手は怒っているのではなく、落としています

入金がないと聞くと、相手が払う気をなくしたように感じます。実際に止まっていた理由は、もっと素っ気ないものでした。

  • 請求書が担当者の受信箱で埋もれた
  • 経理の担当者が変わり、引き継ぎから漏れた
  • 振込の締め日を過ぎて、翌月回しになった
  • 宛名や振込先の記載が違い、社内で止まっている

最初の連絡を「催促」ではなく「確認」の形にすると、この4つはその場で解けます。相手にとっても、責任を問われずに直せるほうが動きやすいはずです。

入金が遅れる4つの理由

4段階で上げていきます

段階ごとに、手段と目的が変わります。

| 段階 | 時期の目安 | 手段 | 目的 | | --- | --- | --- | --- | | 1 | 期日から3営業日 | メールで着信確認 | 事故の切り分け | | 2 | 期日から2週間 | 電話とメール | 支払日の約束を取る | | 3 | 期日から1か月 | 書面(内容証明郵便) | 記録を残す | | 4 | 期日から2か月以降 | 支払督促・少額訴訟の検討 | 法的手続きへ |

段階4の支払督促は、裁判所を通じて相手に支払いを求める手続きです。少額訴訟は、少ない金額の争いを原則1回の期日で終える訴訟の形を指します。どちらも進め方の判断は専門家の領域なので、この記事では入口の名前までにとどめます。

私の場合、段階1で片づくことがほとんどでした。ここを丁寧にやるほど、段階3から先へ進む件数が減ります。

段階1の文面

件名:〇月分ご請求のご確認

いつもお世話になっております。〇〇の〇〇です。 〇月〇日付でお送りしたご請求書について、本日時点で入金の確認が取れておりません。 行き違いでしたら申し訳ありません。ご請求書がお手元に届いているかどうかだけ、ご確認いただけますでしょうか。 再送が必要でしたら、すぐにお送りいたします。

責める言葉を入れません。聞いているのは「届いているか」の1点だけです。

段階2の文面

先ほどはお電話ありがとうございました。 お話しした内容を残しておきます。 ・ご請求額:〇〇円 ・お支払い予定日:〇月〇日 入金を確認しましたら、あらためてご連絡いたします。

電話で決めたことを、その日のうちに文字にして送ります。言った・言わないを防ぐためと、相手が社内で承認を回しやすくするためです。

督促を4段階で上げる流れ

請求できる期間には終わりがあります

売掛金は、放っておくといつか請求できなくなります。2020年4月1日に施行された改正民法で、この期間の数え方が変わりました。

改正前は、職業ごとに1年から3年の短い時効が定められ、商行為によって生じた債権は5年とされていました。改正後は、職業別の短期消滅時効も商事時効も廃止され、次の2つに統一されています。

  • 権利を行使することができることを知った時から5年
  • 権利を行使することができる時から10年

早いほうの経過によって時効が完成します。売買代金のような契約上の債権では、この2つの起算点は基本的に同じ時点になります。実務では「支払期日から5年」と考えておくと、大きく外れません。

ただし、2020年3月31日以前に生じた債権には改正前のルールが適用されます。古い売掛金を扱うときは、いつの取引かを先に確認してください。

ここで誤解が起きやすい点があります。内容証明郵便を送っても、時効が最初から数え直しになるわけではありません。裁判外の請求である催告は、時効の完成を6か月猶予する効果にとどまります。その6か月以内に訴えの提起などをしなければ、時効を止める効力は生じません。

一方、相手が支払義務を認めた場合は承認にあたり、時効が更新されてゼロから数え直しになります。一部だけでも入金してもらう、支払日を書面で認めてもらう。この2つが回収の実務で効くのは、記録が残るからだけではなく、時効の面でも意味を持つからです。

督促を始める前に確認すること

督促が起きにくい形を先に作ります

督促は、起きてから対応するより、起きにくくするほうが軽く済みます。

  • 請求書の支払期日を日付で書く(「月末」ではなく「〇月〇日」)
  • 送付先を、担当者と経理の2か所にする
  • 送った日と期日を1枚の表で管理する
  • 期日の3営業日後に気づける形にしておく(カレンダーの予定でも足ります)

配送の現場でも、荷物が届かないという連絡は、追跡番号を先に渡しているかどうかで手間が何倍も変わりました。請求も同じです。相手が自分で確認できる材料を先に渡しておくほど、こちらから追いかける回数が減ります。

なお、督促の方法によっては、相手に威圧と受け取られることがあります。深夜の連絡や、取引先以外への連絡は避けてください。段階4の法的手続きに進む判断や、書面の作り方は、弁護士や司法書士の領域です。この記事は制度の枠組みを整理したもので、個別の法律判断に代わるものではありません。

コマチWEBサポートでは、請求書の送付先の管理や、期日に気づくための仕組みづくりをご一緒しています。回収そのものの代行はいたしませんが、追いかける回数を減らす側はお手伝いできます。

  • コマチWEBサポートのHPでサブスクプランを見る: https://komachi-dx.com
  • LINE公式で無料相談: https://line.me/R/ti/p/@633tppon
  • メール相談: [email protected]

出典:法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料 -主な改正事項-」

💬 あきらの一言

配送をやっていた頃、入金の遅れに気づくのはいつも通帳を見た夜でした。翌朝には配達が始まるので、電話をかける時間がない。そのまま2週間、3週間と過ぎていきます。ある時から、請求書を送った日と支払期日を1枚の表に書くようにしたら、遅れているかどうかを迷わなくなりました。変わったのは回収率よりも、「催促していいのかどうか」を悩む時間のほうです。期日を過ぎている事実がはっきりしていれば、確認の連絡は気まずくありません。まずは送った日と期日を並べて書くところから始めてみてください。

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