施工事例は「きれいな写真」を並べる場所だけではありません

「HPはあるんですが、問い合わせがほとんど来ないんです。何を直せばいいですか」

山田さんのような小さな事業者から、こういう相談を受けることがあります。塗装業のHPでは、料金表や会社概要より先に、施工事例を見られることが多いです。ここでいうBefore/After写真は、施工前と施工後の状態を並べて、どこがどう変わったかを伝える写真のことです。

先に言うと、施工事例ページは「上手に塗れました」と見せるだけでは足りません。お客様が問い合わせ前に感じる不安を、写真、説明、流れ、注意書きで一つずつ減らす場所として作ると、HPの役割がはっきりします。

塗装の施工事例で問い合わせ前の不安を減らす全体像

問い合わせ前のお客様は3つの不安を見ています

施工事例は「作品集」より「不安を減らす説明ページ」

自分の家に近い事例があるか

外壁塗装を考える人は、専門的な塗料名よりも先に「うちと似た家をやったことがあるか」を見ます。築年数、外壁の色あせ、屋根の傷み、ベランダまわり、雨どいなど、自分の家に近い写真があると判断しやすくなります。

たとえば施工事例が3件だけでも、すべて同じ角度の完成写真なら情報は少なめです。1件につき「施工前」「気になっていた箇所」「作業中」「施工後」の4枚を出すだけで、同じ3件でも見える情報は12場面になります。

作業の中身が見えるか

塗装は、完成後の見た目だけでは中の作業が伝わりにくい仕事です。高圧洗浄、養生、下地処理、下塗り、中塗り、上塗りなど、見えない工程が多いからです。

専門用語を並べる必要はありません。「塗る前に汚れを落とす」「傷んだ部分を整える」「周りを汚さないように保護する」のように、普段の言葉で説明すると読みやすくなります。軽貨物の現場でも、荷物が届くまでの裏側を説明すると安心される場面があります。塗装も同じで、完成写真だけでは伝わらない段取りがあります。

問い合わせた後の流れが分かるか

写真で安心しても、問い合わせ後に何を聞かれるか分からないと手が止まります。現地確認、見積り、色決め、近隣への配慮、工期の目安など、次の流れが見えていると相談しやすくなります。

ここで大切なのは「安くできます」と強く言うことではありません。見に来る人が知りたいのは、金額だけでなく、家の状態をきちんと見てもらえるか、押し売りにならないか、生活への影響を説明してもらえるかです。

施工事例ページは1件5ブロックで作る

施工事例1件は5ブロックで作る手順

1. 工事前の悩み

最初に書くのは、施工前のお客様が何に困っていたかです。実名や住所は出さず、「築20年ほどの戸建て」「外壁の色あせとチョーキングが気になっていた」くらいの粒度で十分です。

「チョーキング」は、外壁を触ったときに白い粉が付く状態のことです。専門用語を使う場合は、このようにすぐ横で短く説明します。非エンジニア、非職人の読者にも分かるようにするだけで、記事全体の読みやすさが変わります。

2. 現地確認で見たポイント

次に、現地で確認したポイントを書きます。ひび割れ、コーキングの劣化、日当たり、雨が当たりやすい面、屋根や雨どいの状態などです。

ここは「ひどい状態でした」と書くより、「南面の色あせが強く、ベランダまわりに細かな傷みがありました」のように具体化します。読者が自分の家を思い浮かべやすくなります。

3. 作業内容

作業内容は、工程を短く分けて書きます。たとえば1件の事例なら、次の5行でも十分です。

  • 高圧洗浄で汚れを落とす
  • 傷んだ目地まわりを確認する
  • 窓や玄関まわりを養生する
  • 下塗り、中塗り、上塗りの順で進める
  • 最後に周辺を確認して清掃する

大事なのは、専門家らしく見せることよりも、読者が「雑に塗って終わりではないんだ」と分かることです。

4. 施工後の変化

施工後の説明では、見た目の変化と生活上の安心を分けます。「外壁の印象が明るくなった」「雨どいまわりまで整った」「玄関側から見たときの印象がそろった」のように、写真で見える変化を言葉にします。

ただし「資産価値が上がる」「必ず長持ちする」といった断定は避けます。工事内容や家の状態で変わるため、公開記事では無理に言い切らない方が安全です。

5. 担当者の一言

最後に、担当者の短いコメントを入れます。長い営業文ではなく、「日当たりの強い面を重点的に確認しました」「色決めでは近隣の外観とのなじみも見ました」くらいで十分です。

1件あたり5ブロック、写真4枚、説明600字前後を目安にすると、施工事例を作る負担が見えやすくなります。月3件更新できれば、3か月で9件の事例がたまります。

Before/After写真は安心の順番で並べる

Before/After写真の公開前チェックリスト

同じ角度で撮る

Before/After写真は、できるだけ同じ場所、同じ角度、近い距離で撮ります。角度が違いすぎると、変化が伝わりにくくなります。

スマートフォンで撮る場合でも、玄関前、道路側、ベランダ側、気になる劣化箇所など、撮影位置を決めておくと毎回そろえやすくなります。公開用に使う前提なら、表札、車のナンバー、近隣の家、通行人が写り込まないように確認します。

写真の説明を1行だけ添える

写真には、短い説明を添えます。「施工前: 南面の色あせが目立つ状態」「施工後: 外壁と雨どいの印象がそろった状態」のように、見れば分かることを補助する程度で十分です。

説明がない写真は、読者が自分で読み解く必要があります。1行の説明があるだけで、どこを見ればよいか分かりやすくなります。

個人情報を出さない

施工事例では、実績を見せたい気持ちが強くなります。ただ、住所、表札、車のナンバー、顔、郵便物、会社名が分かる看板などが写ると、公開前に確認が必要です。

安全に出すなら、「福岡市内の戸建て」「築20年ほど」「外壁と付帯部の塗装」のようなぼかし方にします。お客様の名前を出さなくても、作業の丁寧さは伝えられます。

月3件の更新でHPを止めない

最初から完璧を狙わない

施工事例ページは、最初から30件そろえる必要はありません。まずは代表的な3件を作り、次に月3件ずつ足すくらいが現実的です。

1件600字、写真4枚、月3件なら、月の追加量は約1,800字と写真12枚です。この量なら、現場写真を撮る担当、文章を整える担当、公開前に確認する担当を分けやすくなります。

問い合わせボタンは事例の近くに置く

施工事例を読んだ人が次に知りたいのは、「自分の家ならどうなるか」です。事例の下に、現地確認や相談につながるボタンを置くと、次の行動が分かりやすくなります。

ただし、急かす言葉を強くしすぎる必要はありません。「まずは状況を聞かせてください」「写真だけでも相談できます」のように、相談の入口を低くする表現が向いています。

AIは下書き整理に使う

AIは施工事例の下書き整理に使えます。写真を見ながら、工事前の悩み、確認ポイント、作業内容、施工後の変化を箇条書きで出し、それを読みやすい文章に整える使い方です。

ただし、顧客名、住所、メールアドレス、見積書、契約前の情報をそのまま入れる運用は避けます。AIに渡すなら、個人や家が特定されない形にして、公開前は人が必ず確認します。

塗装業のHPで問い合わせが来ないとき、まず見るべきなのは派手なデザインだけではありません。施工事例が、お客様の不安に答える順番になっているかです。写真、説明、流れ、問い合わせ導線をそろえるだけでも、HPは「見せるだけの場所」から「相談前の不安をほどく場所」に近づきます。

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  • メール相談: [email protected]

💬 あきらの一言

軽貨物の仕事をしていた頃、新しい配送先に伺うとき、どんな現場か分からないと不安でした。逆に、過去の作業の様子が分かると、初めての相手でも安心して任せてもらえました。塗装も同じだと思います。完成写真がいくらきれいでも、お客様が見たいのは「自分の家と似た事例があるか」「どんな段取りで進めるのか」です。一気に立派なHPを作る必要はありません。まずは1件、施工前・気になった箇所・作業中・施工後の4枚を、短い説明と一緒に並べてみる。そこから始めるだけで、問い合わせ前の不安はずいぶん減ります。

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